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マルチクラウドとは?ハイブリッドクラウドとの違い、マルチクラウド戦略の進め方を解説

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マルチクラウドは、複数のパブリッククラウドを組み合わせて構築されるIT環境です。各クラウドの長所を組み合わせることで、自社に最適なクラウド環境を構築することができ、多くの利点があります。ただし、マルチクラウドを導入する際には注意点もあるため、マルチクラウドの特性や課題を理解したうえで導入を進めることが重要です。

この記事では、マルチクラウドの概要やメリット、必要性、ハイブリッドクラウドとの違い、マルチクラウド戦略の進め方について解説します。

マルチクラウドとは?定義を解説

マルチクラウドとは、複数のクラウドサービスを組み合わせて最適な環境を構築する運用形態です。一般的に、クラウドは実装モデルによって以下に分類されます。

  • パブリッククラウド:プロバイダーがインターネットを通じて提供するクラウド環境
  • プライベートクラウド:自社で所有・運営する専用のクラウド環境
  • ハイブリッドクラウド:パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたクラウド環境

マルチクラウドでは、これらの実装モデルのうち、パブリッククラウドのみを組み合わせて運用します。例えば、異なるパブリッククラウドを利用し、ウェブアプリケーションのホスティングとデータバックアップ・復旧環境を同時に構築するといった方法です。

マルチクラウドのメリット

マルチクラウドを採用することで、企業にとって多くのメリットがあります。ここでは、そのメリットを6つの項目に分けて解説します。

各クラウドの良い部分を組み合わせられる

マルチクラウド環境の大きなメリットは、自社のニーズに応じて、複数のパブリッククラウドの良い部分を組み合わせられる点です。単一のパブリッククラウドで特定の要件を満たすためには、自社開発が必要な機能もありますが、複数のパブリッククラウドを組み合わせることで、理想のIT環境を簡単に構築することが可能です。例えば、豊富な機能をもつクラウドと、データ処理能力の高いクラウドを組み合わせることで、企業は最適なソリューションを構築できます。

ベンダーロックインを回避できる

マルチクラウド環境を構築することで、特定のクラウドプロバイダーへの依存(ベンダーロックイン)のリスクを回避できる点もメリットです。ある企業が特定のクラウドプロバイダーに依存しすぎると、そのプロバイダーが価格を上げたりサービスを変更したりする場合に、企業は大きな影響を受ける可能性があります。複数のプロバイダーを利用することで、ベンダーロックインによる制約を最小限に抑え、将来的な移行や変更にも対応しやすくなります。

バックアップなどリスク分散を実施しやすい

マルチクラウド環境の特徴として、データやアプリケーションのバックアップなどのリスク分散を実施しやすいこともあげられます。特定のクラウドサービスに障害が発生した場合でも、リスク分散を容易に行えるため、システムの可用性や耐障害性の向上が期待できます。

例えば、あるクラウドプロバイダーのサービスに障害が発生した場合でも、別のプロバイダーのリソースを利用してサービスを継続することが可能です。

費用対効果を最大化できる

マルチクラウドでは、余分なコストを削減し、必要に応じて柔軟にリソースの拡張や縮小が可能です。そのため、費用対効果を最大化できることもメリットといえるでしょう。これにより、初期投資費用と保守・運用・維持費用を削減しながら、価格とパフォーマンスの最適な組み合わせを検討できます。

高度なセキュリティと規制遵守が可能

特定の地域や業界における規制要件を満たすためには、複数の異なるクラウドプロバイダーを利用することが有効です。マルチクラウドによって、複数のセキュリティ対策やデータの暗号化などの機能を組み合わせることで、高度なセキュリティ要件や規制要件を満たしやすくなります。

柔軟性と拡張性を確保できる

マルチクラウドを活用することで、企業や組織の需要の変化に応じて、ストレージ容量やセキュリティを柔軟に拡張または縮小できます。また、新たなサービスや機能を追加する際にも、既存のインフラに依存せずに柔軟に対応することが可能です。

なぜマルチクラウドが必要?

クラウドベンダーが多様なサービスを提供する中で、マルチクラウドの運用形態を採用する企業も増えています。2023年7月に日経クロステックが実施したアンケート調査によると、マルチクラウドを採用している企業は全体の6割を超えており、マルチクラウドの採用率が高いことが分かっています。
複数のクラウドサービスを組み合わせることで、企業は最適な運用環境を構築できるため、マルチクラウドを選択する企業が急速に増加していると考えられます。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

マルチクラウドと混同される言葉として、「ハイブリッドクラウド」があげられます。両者は複数のクラウドを組み合わせる点では共通していますが、以下の違いがあります。

  • マルチクラウド:複数のパブリッククラウドを組み合わせる
  • ハイブリッドクラウド:パブリッククラウドとプライベートクラウド、または物理サーバなど、異なる種類のサーバやサービスを組み合わせる

マルチクラウドは、パブリッククラウドに限定して組み合わせる実装モデルであるのに対し、ハイブリッドクラウドは、企業独自のプライベートクラウドや物理サーバ(オンプレミス)と、パブリッククラウドを組み合わせる点が大きな違いといえます。

マルチクラウド環境における注意点

マルチクラウドにはメリットが多い反面、注意すべき点もあります。マルチクラウド環境の導入は、次の2つの注意点を考慮した上で進めましょう。

セキュリティを強化する必要がある

マルチクラウド環境では複数のクラウドプロバイダーが関与するため、情報の移動やアクセス管理において、セキュリティの脆弱性の増加が懸念されます。そのため、従来のオンプレミス環境や単一のクラウド環境を利用する場合よりも、セキュリティを強化しなければならない点には注意しましょう。具体的には、統一されたセキュリティポリシーの策定や、強力な認証手段の導入など、十分なセキュリティ対策が求められます。また、セキュリティの脅威や攻撃に対するリアルタイムのモニタリングや、対応体制の整備も必要です。

運用・管理体制を整備しなければならない

マルチクラウド環境では、プロバイダーごとに異なる管理ポータルやインターフェースを使用するため、それらを統合し、効果的に運用・管理する体制を整備しなければなりません。APIやサービス契約、請求書の管理など、アカウント管理も煩雑化しやすいため、効率的な運用には専門知識やスキルが求められます。適切な人材の配置や教育・訓練にも投資する必要があるため、社内での管理統制体制を整備するか、外部パートナーに委託することも検討すると良いでしょう。

マルチクラウド戦略の進め方


マルチクラウドの導入を効率的・効果的に進めるためには、以下の手順で進めましょう。

1. 目的と目標を明確にする

マルチクラウド戦略を進めるにあたり、まずは明確な目的と目標を定めることが重要です。企業のニーズや要件を理解し、マルチクラウドを導入する目的を明確にすることで、戦略的な方針を立てることができます。例えば、「パフォーマンス向上」「セキュリティ強化のためにリスク分散を図る」といった目標が想定されます。

目的と目標を明確にすることで、マルチクラウドの利用によるビジネス上のメリットや成果を明確に把握でき、効果的な導入を実現しやすくなります。

2. ベンダーの選択を行う

次に、適切なクラウドベンダーの選択を行いましょう。複数のパブリッククラウドを組み合わせる場合、各クラウドベンダーのサービスや機能、料金体系などを比較し、自社のニーズに最適なベンダーを選定する必要があります。

また、ベンダー間の相性や連携のしやすさも考慮し、戦略的なパートナーシップを築くことが重要です。

3. 移行プランを策定する

マルチクラウド戦略を実行するためには、適切な移行プランを策定することが不可欠です。移行するアプリケーションやデータ、サービスを明確にし、移行手順やスケジュール、リスク管理などに関する具体的な計画を立てると良いでしょう。

また、取引先や関係者(ステークホルダー)との連携も考慮し、円滑な移行を実現するための準備を進める必要があります。

4. マルチクラウドの導入後に再評価を行う

マルチクラウドを導入した後も、定期的な再評価と改善が求められます。テクノロジーやビジネスの変化に迅速に対応するためには、マルチクラウドの運用状況や効果を定期的にモニタリングし、必要に応じて戦略の修正や最適化を行うことが重要です。これにより、最適なマルチクラウド戦略の維持につながります。

まとめ

マルチクラウドは、複数のパブリッククラウドを組み合わせてIT環境を構築する手法です。各クラウドの長所を組み合わせることで、企業に最適な環境を実現しやすくなります。マルチクラウドを構築する際には、自社のシステムの方向性を明確にした上で、移行の準備を進めることが重要です。また、セキュリティや運用体制などの注意点を考慮し、導入後も適切な環境を維持するための見直しを継続的に行う必要があります。

マルチクラウドのメリットや必要性、ハイブリッドクラウドとの違い、実施手順を把握し、適切なマルチクラウド環境の構築を目指しましょう。

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