【Step1】IDCの基礎知識

データセンター運用の4つの課題と解決策|データセンタービジネスの現状やメリットも解説

本記事はPRを含みます

企業や組織が安全かつコスト効率よくデータを管理するために、外部のデータセンターを利用する傾向が高まっています。データセンターはサーバーやデータ通信機器などの設置・運用に特化した施設であり、高度な空調設備や電源設備が整えられ、防災やセキュリティ管理を徹底できるというメリットがあります。
しかし、データセンターを運用する上で、ビッグデータの普及やAIの活用によりデータの規模が膨大化していることなど、課題もいくつか存在します。そのため、データセンター運用の効果を高めるためには、これらの課題とその対策を考慮することが必要です。

本記事では、データセンター運用の4つの課題と解決策をご紹介します。また、データセンタービジネスの現状やメリットについても解説します。

データセンター運用とは

まずは、データセンター運用がどのようなものなのか、基礎を確認しておきましょう。データセンター運用とは、データセンターの運営と維持管理に関わる業務全般を指し、データセンタービジネスの中核を成す活動です。

具体的な業務として、サーバーやネットワーク機器の保守点検やトラブルシューティング、セキュリティ対策の強化、エネルギー効率の最適化などがあげられます。データセンターを適切に運用することは、安定したサービス提供と顧客満足度の向上に不可欠であり、ビジネス成功の重要な要素の一つといえます。

データセンタービジネスの現状

日本のデータセンター市場は、技術革新とデジタル化の促進により、急速に成長しています。

特に、ハイパースケーラー(大規模なクラウドコンピューティングやデータ管理サービスを提供するクラウドプロバイダー)と呼ばれる企業による大規模なデータセンターへの投資が増加しており、年間10兆円以上(*)の投資が行われています。日本は、世界で米国・中国に次いで第3位(*)の立地数です。

この成長は、クラウドコンピューティングの普及やビッグデータ分析の需要増加、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速によるものと考えられます。また、国内では災害に強いデータセンターへの需要も高まっており、ビジネスの継続性を確保する上で重要な役割を果たしています。

*出典:デジタルインフラを巡る現状と課題|経済産業省

データセンターを運用するメリット

データセンターを運用するメリットの一つは、企業や組織にとって大切なデータを、最適化された環境で管理できる点です。専用の電源設備や空調設備により、サーバーやネットワーク機器を安定的に稼働させることが可能です。これにより、社内のIT部門の業務負担が軽減され、コア業務へ集中できます。

また、データセンターは災害に備えた堅牢な建物に置かれていることや、非常用発電設備やUPS(無停電電源装置)によって停電時でも機能を維持できる利点もあります。そのため、BCP(事業継続計画)対策としても有用です。

さらに、データセンターでは大規模なサーバー管理が行われるため、中長期的な視点では、設備投資や保守費用が低コストで済むというメリットも期待できます。

データセンター運用の課題

データセンター運用にはメリットが多い反面、課題といえる側面も存在します。ここでは、データセンター運用の課題を4つピックアップして説明します。

課題1. データセンター運用の複雑性の増大

ビッグデータやIoT(モノのインターネット)といったデジタル化の進展によって、膨大な量のデータが生成されるようになり、企業が扱うデータ量が増加しています。多様なアプリケーションやシステムでデータを利用する必要が生じていることから、データセンター運用の管理は複雑化しており、リソースの適切な割り当てや障害対応の難易度が増していることが課題の一つです。

課題2. エネルギーの効率的な利用と持続可能性

データセンターの運用において、エネルギーの効率的な利用と持続可能性も重要な課題となっています。
経済産業省や総務省における、データセンターの将来に関する有識者会議の中で注目されているテーマとして、「省エネ・脱炭素化」があります。2021年4月、日本は「2030年度までに温室効果ガスの46%削減を目指す」と表明し、同年10月には、地球温暖化対策計画が新たな削減目標を踏まえた内容へと改定されました。
出典:地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定) | 環境省

課題3. セキュリティ面の脅威

データセンター運用における課題として、セキュリティ面の脅威もあげられます。データセンターには企業や組織の機密性の高い情報が集約されていることから、不正アクセスや情報漏洩を防ぐための高度な保護が求められます。
そのため、運用の透明性を確保し、セキュリティ対策を強化することが急務となっています。

課題4. 運用するための人材不足

データセンター市場の拡大に伴い、運用するための人材やエンジニアの不足が深刻化しています。特に、外資系データセンター企業のサイト拡大や国内進出が増えており、優れたエンジニアが待遇の良い外資系企業に流れてしまうことが課題視されています。これにより、国内企業にとって人材確保の課題が一層深刻化しています。
企業は、優秀なエンジニアの採用や定着を促すために、競争力のある給与や福利厚生を提供することや、技術スキルの向上やキャリアパスの構築にも力を入れる必要があります。また、教育機関との連携や研修プログラムの充実など、業界全体での人材育成に取り組むことが求められています。

データセンター運用における課題の解決策

データセンターの運用における課題は多岐にわたりますが、解決策を理解しておくことで適切に対処しやすくなります。ここでは、データセンター運用における4つの課題に対する解決策をそれぞれ解説します。

解決策1. 自動化による運用効率の改善

データセンターの運用が複雑化している課題に対しては、タスクの自動化による運用効率の改善が効果的です。定型作業や繰り返しの処理を自動化することで、運用業務の効率化を図ることができます。また、タスクの自動化は、人的ミスや運用の遅延を防ぐことにもつながるでしょう。

例えば、定型作業の自動化やリアルタイムなデータ分析を導入することで、運用業務の効率化が図れます。また、自動監視システムや自己修復機能の導入により、障害の早期発見と対処が可能です。これにより、人的ミスの削減や迅速な対応が可能となり、データセンターの運用効率の向上が期待できます。

解決策2. カーボンフリーエネルギーの活用と国内立地の推進

データセンターの運用におけるエネルギー消費の増加の課題に対処するためには、発電などの過程でCO2を排出しない「カーボンフリーエネルギー」の活用が重要です。
代表的なカーボンフリーエネルギーとして、太陽光・水力・風力・地熱など自然の力を利用した再生可能なエネルギーがあげられます。このような再生可能エネルギーの導入や省エネルギー技術の採用により、データセンターのエネルギー消費量を削減し、環境への負荷を軽減することが可能になります。実際に、経済産業省の「デジタルインフラを巡る現状と課題」の資料によると、世界のデータセンター事業者は、積極的にカーボンフリーエネルギーの取得に取り組んでいることが明らかになっています。

例えば、Googleは2007年にカーボンニュートラルを達成し、2017年には世界中の年間消費電力の100%を再生可能エネルギーでまかなうことに成功しています。Amazon Web Services(AWS)もエネルギー効率の高さで知られており、調査対象の米国のエンタープライズデータセンターの中央値よりも、3.6倍エネルギー効率が高いことが示されています。効率的なサーバーの数と高いサーバー使用率によって、高いエネルギー効率を実現しています。

解決策3. セキュリティ対策の強化

データセンターの運用における課題であるセキュリティの確保には、物理的なセキュリティ対策やアクセス制御などの基本的な対策に加えて、最新のセキュリティ技術の導入や定期的なセキュリティ監査の実施が求められます。これにより、データの保護とプライバシーの確保を図ることが可能になります。

また、従業員のセキュリティ意識向上のための教育やトレーニングも重要です。これにより、データセンターのセキュリティレベルを向上させ、セキュリティ対策の強化に寄与するでしょう。

解決策4. 運用に必要なスキルの教育を強化する

データセンターの運用には高度な技術スキルが求められますが、適切な教育が不足していることが課題となっています。この課題を解決するためには、運用に必要なスキルの教育を強化する取り組みが必要です。

まず、教育機関や企業研修における、データセンター運用に関連する技術や知識を網羅したカリキュラムの充実が求められます。また、実務経験を積む機会や、実践的なトレーニングプログラムの提供も重要です。

さらに、業界との連携を強化し、最新の技術トレンドやベストプラクティスの共有を促進することにより、データセンターの運用におけるスキル不足の課題を克服し、運用業務の効率化と品質向上を目指すことが求められます。

まとめ

データセンタービジネスの市場は、急速なデジタル変革やデータ量の増大、新技術の導入に伴い、急速に成長し変化しています。
一方で、データセンター運用にはいくつかの課題があり、これらの課題に対処するためには、エネルギー効率を高める取り組みや再生可能エネルギーの導入、強固なセキュリティ対策の実施、新技術への柔軟な対応が不可欠です。データセンター運用の課題と解決するための対策を理解し、適切に対応することで運用効果を高めましょう。

首都圏以外のデータセンターなら
[PR]

 

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP