【Step1】IDCの基礎知識

データセンターを地方に置くメリット・デメリットとは?地方分散の活用方法も紹介

本記事はPRを含みます

昨今、サーバーやネットワーク機器などを置く施設である「データセンター」の地方分散が注目されています。総務省の「デジタル園都市国家インフラ整備計画」では、2027年度末までに光ファイバーの世帯カバー率を99.9%に向上させることを目標として掲げており、その達成に向けて、データセンターなどのデジタルインフラを地方に分散させるための整備が進められています。地方にデータセンターを配置することで、自然災害への対策強化や運用コストの削減など、さまざまなメリットが期待できます。本記事では、データセンターを地方に配置する必要性やメリット・デメリット、地方分散の活用方法について解説します。

データセンターとは?地方分散の必要性

データセンターとは、サーバーやネットワーク機器などの装置を保管・運用するための、物理的な施設です。内部には、サーバーを収納するラックやネットワーク機器を設置するスペースがあり、高速回線・冷却装置・大容量電源など、サーバー設置に必要な設備が整えられています。

不動産サービス「CBRE」の調査によると、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)にあるデータセンターの平均稼働率は、2022年末時点で、前年同期比3ポイント増の88%とされています。一般的に、データセンターの稼働率は70%以上が健全とされており、新規の受け入れが困難な状況が続くことが想定されるため、データセンターの地方分散化の必要性が高まっています。

データセンターの地方・都市部での立地状況

経済産業省と総務省が公開している「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合」の資料によると、日本のデータセンターは大都市部に集中しており、特に東京・大阪エリアがその大半を占めていることが分かります。

引用:デジタルインフラ(DC等)整備に 関する有識者会合 (第4回事務局説明資料)|総務省

データセンターの地方・都市部での立地状況

データセンターの地方での立地状況は、北海道・本州・四国・九州と全国に拠点が設けられています。データセンターは大都市部へ集中しつつも、地方での拠点も増えつつあるといえるでしょう。

引用:デジタルインフラ(DC等)整備に 関する有識者会合 (第4回事務局説明資料)|総務省

データセンターを地方に置くメリット

データセンターを地方に置くメリット

データセンターを地方に置くことには、多くのメリットがあります。ここでは、地方にデータセンターを分散することのメリットや、これにより企業が得られるベネフィットを5つご紹介します。

コスト削減できる

地方にデータセンターを置くことの大きなメリットの一つは、コストを削減できることです。地方のデータセンターは、首都圏に比べて地価や人件費が安いため、運用コストを大幅に削減することが可能です。物理的な施設の建設費用や運用費用が低いため、企業はより効率的に運用を行うことができます。また、電力料金や設備の維持管理費用なども低く抑えることができるため、長期的な運用コストの削減にもつながるでしょう。

特に、限られた予算の中で効率的な運用を行うことが求められる中小企業の場合、地方のデータセンターを利用することで、ITインフラ構築の費用対効果を高められます。

運用の効率化を図れる

地方のデータセンターは、その規模や運用体制が比較的小規模であるため、運用の効率化が図りやすい点もメリットといえます。一般的に、首都圏のデータセンターはスペースが制限されていることが多く、運用が煩雑になりやすいことが課題でした。対して地方のデータセンターの場合、運用管理が柔軟であり、迅速な対応が可能です。

運用の効率化は、企業の競争力向上に直結します。地方のデータセンターを利用することで、システムの障害やトラブルへの対応が迅速に行いやすいため、サービスの停止時間を最小限に抑えることができ、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。

セキュリティの強化につながる

地方のデータセンターのメリットとして、セキュリティの強化を図りやすいこともあげられます。大都市部に比べて設備や建物の規模が比較的小さいため、物理的なセキュリティ対策や監視体制の強化を容易に行えます。

セキュリティ体制の優劣は、企業の情報資産を保護し、ビジネスの安定性を確保する上で重要な要素です。セキュリティ対策を強化することで、情報漏洩やシステムへの不正アクセスなどのリスクを低減でき、安全性の高いITインフラの構築が可能になります。

自然災害発生時の被害を抑えられる

自社とデータセンターを都市部に構える場合、万が一の自然災害発生時に、自社拠点とデータセンターが同時に被災するリスクが懸念されます。総務省の資料によると、東日本大震災の際のデータセンターの被害の内容は以下の通りでした。

  • 免震台の被害:4件
  • 免震床の被害:1件

このほか、海底ケーブルや被災地で発生した通信回線のトラブルにより、一部のサービスに影響が出たとされています。

一般的に、データセンターは地震や洪水などの自然災害のリスクが低い場所に設置され、耐震性の高い構造を持っていますが、長時間の停電やネットワークの断線などにより、サービスに影響が生じるリスクがあります。そのため、地方などの遠隔地にバックアップを備えることが重要です。

経済産業省の補助金を利用できる

令和5年度の「データセンター地方拠点整備事業補助金」では、データセンターの新規拠点を整備する際に必要な土地の造成費用や電力・通信などのインフラ整備費用、建屋や設備などデータセンター施設の一部の整備費用について、補助金の支援が行われました。

地方にデータセンターを置くことで、国が提供する補助金制度が実施された際に利用することも可能です。

このような補助金制度を活用することで、地方にデータセンターを新設する場合や、既存の施設を拡張する場合に、建設費用や設備投資の負担を軽減することができます。さらに、地方におけるデータセンター整備が促進されることで、地域経済の活性化や雇用の創出にも貢献できます。

データセンターを地方に置くデメリット

データセンターを地方に置くことには多くのメリットがある一方で、デメリットといえる側面もあります。デメリットも理解しておくことで、地方への設置をスムーズに進めやすくなるでしょう。ここでは、データセンターを地方に置くデメリット2点と対策を解説します。

IT人材の不足が懸念される

地方にデータセンターを置く場合、IT人材の確保が課題となることがあります。これは、大都市部に比べて地方のIT人材の数が少ないため、適切な技術力を持った人材を確保することが難しくなるためです。

IT人材不足の対策として、以下があげられます。

  • 教育・育成プログラムの強化
  • リモートワークの導入
  • 外部パートナーとの連携

具体的には、地方の大学や専門学校と連携し、IT人材を育成するためのプログラムを強化することで、地域内での技術者の育成を図ることが可能です。また、地方在住の技術者に対してリモートワークを導入し、地方からでもデータセンターの運用・管理を行える環境を整備することで、人材を確保しやすくなるでしょう。さらに、ITサービスを提供する企業や外部のIT専門家と連携し、地方のデータセンターの運用・管理の支援を受けることも一つの方法です。

交通アクセスがやや不便

地方のデータセンターでは、交通アクセスの不便さがデメリットとなるケースも想定されます。地方では大都市部に比べて公共交通機関の利便性が低く、アクセスがやや困難な場所にデータセンターが置かれることが多いため、従業員や訪問者の移動時間が長くなることがあります。

また、物流面でも大都市部ほどの利便性がないため、機器や部品の調達や補充にも時間がかかる傾向があります。対策として、以下のような改善方法があります。

リモートワークの活用

シャトルバスの運行・利用

従業員に対してリモートワークの導入を促すことで、通勤の負担を軽減できます。また、データセンターと最寄りの駅やバス停とを結ぶシャトルバスの運行・利用を検討するなど、交通アクセスの利便性を高める工夫が必要です。

データセンターの地方分散の活用方法
データセンターを地方に分散配置することで、さまざまなメリットを享受できます。ここでは、具体的な地方データセンターの活用方法を2つご紹介します。

サーバーの増強のために利用する

地方のデータセンターは、サーバーの増強や拡張に活用することが可能です。首都圏のデータセンターだけではスペースの限界があり、新しいサーバーを設置することが難しい場合がありますが、地方の場合、スペースに余裕があり、新たなサーバーの設置や既存サーバーの増強が比較的容易に行えます。

地方のデータセンターをサーバーの増強に活用することで、企業の事業拡大や急激なトラフィック増加への対応など、柔軟かつ迅速にサーバーを増強できます。これにより、需要が急増した場合でも、大規模な投資を行うことなくリソースを活用できます。

BCP対策の一環として活用する

地方にデータセンターを設置することは、事業継続計画(BCP)の一環としても活用できます。BCP(Business Continuity Plan)とは、災害などの緊急事態が発生した際に、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画です。

地方にデータセンターを置くと、首都圏に設置されたデータセンターとは異なる地域にデータをバックアップできることになります。これにより、地震や台風などの自然災害や、テロ攻撃などの人為的な災害が発生した場合でも、企業のデータを安全に保護することが可能です。

まとめ

地方へのデータセンターの分散は、大都市部にデータセンターが集中しているといった理由から、必要性が高まっています。地方にデータセンターを置くことで、コスト削減や運用の効率化や、自然災害の被害を最小限に抑えるなど、多くのメリットが期待できます。

具体的な活用例としては、地方データセンターの拡張性を活かしてサーバーの増強を図ることや、自然災害やサイバー攻撃の同時被災を回避し、事業継続計画(BCP)を強化することがあげられます。

データセンターを導入する際には、地方に置くことのメリット・デメリットを理解したうえで、適切な地域を選定しましょう。

首都圏以外のデータセンターなら
[PR]

 

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP