近年多くの企業が、企業データを安全かつ低コストで運用する目的で社外データセンターを利用するケースが増加しています。
しかし、データセンターを利用する際、どのような基準で比較すればよいか、選び方に困っているという方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、データセンターとはどのような施設か、どのように選定すればよいか、について詳しく解説します。
データセンターとは?
そもそもデータセンターとはどのような施設なのかを理解しておきましょう。
データセンターは、IT機器を管理することに特化した施設です。
本来自社で管理すべきサーバーやストレージですが、IT機器の設置場所がないため、セキュリティ対策が不十分などの課題があります。
このような場合に利用されるのがデータセンターです。
データセンターの形態
ひと言でデータセンターとはいっても、その形態やサービス提供方式にはさまざまなパターンがあり、大きく以下3つのパターンに分類されます。
● ハウジング(コロケーション)
● ホスティング
● クラウド
それぞれのパターンについて説明しましょう。
ハウジング(コロケーション)
1つ目はハウジングです。
ハウジングは、自社所有のサーバーをデータセンターに設置し、データセンターからは回線、電源、空調などの物理的な施設を借用します。
ハウジングのメリットはすでに使用しているサーバーをそのまま移設すればよい、という点です。
ハウジングの場合、すでにデータセンター側に設置されているラックスペースを借用して設置する形が一般的ですが、サーバールーム1室、あるいは一定のスペースを丸ごと借用し自社ラックごと移設して利用するといったケースもあります。
ホスティング
2つ目はホスティングです。
ホスティングは、データセンター事業者側が準備するサーバーやホストを他社と共有、ないしは占有で利用する利用形態です。
利用者は利用する機器スペック(CPUやメモリサイズ等)や利用時間で使用できます。
サーバー購入・運用費などを抑えられ、ハードウェア部分を丸ごと委託できる点ではハウジングに比べアドバンテージはあるものの、OS・ミドルウェア種別やハードウェア構成などに制限があるなど、自由度が下がってしまう制約があります。
クラウド
3つ目はクラウドです。
クラウドは、ホスティングの進化した形と考えられます。
クラウド事業者側でハードウェアやOS・ミドルウェアだけでなく、必要となるソフトウェア部分まで準備してもらえるケースなどがあり、利用者側はほぼメンテナンスフリーで利用できるケースがほとんどです。
代表的な例では、Microsoft365(メール・スケジュール)やAWSなどがあります。
ホスティング以上にデータセンター事業者から提供される範囲は広く、その分ユーザ側の運用負担は低減できますが、ホスティング以上に自由度は低くなります。
データセンターを利用する主な理由
データセンターを利用する方の多くは、下記4つの理由から利用されるケースが多くなっています。
● インフラ機器の更新が追い付かない
● 災害対策が不十分
● 運用維持ができない
● セキュリティ対策
利用者が増加するデータセンターですが、主にどのような目的・理由で利用するのかをそれぞれ解説していきます。
インフラ機器の更新が追い付かない
1つ目の理由としてインフラ機器更新が追い付かないという理由があります。
自社でサーバー機器を導入すれば数年に1回程度は老朽化対策や更新が必要です。
しかしながら、更新には多額の費用に加え、更新計画立案・導入・運用に高いスキルや多くの工数を必要とします。
また利用者が増えればこのサイクルにかかわらず、増強などの対策も必要となるのです。
しかし近年では業務のIT化やDX化が加速しており、これによるシステム増強・刷新のサイクルも短くなっています。そのため、自社内では対応しきれなくなってきているケースも目立っています。
災害対策が不十分
2つ目は災害対策(BCP)が不十分なケースです。
近年、大型地震が多数発生しており、BCP対策が注目されています。
ディザスタリカバリーや建物・インフラ設備の耐震対策などが強く求められる一方、自社内でこの対策を実施するには多額の費用を必要とするため、なかなか対策できないといった声も多く聞かれます。
運用維持ができない
3つ目は運用維持が困難なケースです。
昨今、IT環境は24時間365日稼働が当たり前となってきており、これにあった運用体制が必要です。
またIT技術も高度化しており、運用者にはそれに伴う高いスキルが必要となりますが、事業会社にとってITは本来業務ではなく、体制構築は困難なケースが出てきています。
セキュリティ対策
4つ目はセキュリティ対策です。
サーバーには重要データが多数保管されている為、これらを保管するサーバールームには高いセキュリティレベルが求められます。
例えばカードリーターや生体認証などを利用した入退出管理やカメラなどによる監視などです。
しかしながらこれには災害対策同様、多額の費用や専門の運用体制が必要となり、なかなか対策できないといった声も多く聞かれます。
データセンターの選び方のポイント
ここまで、データセンターとは何か?利用するその背景などについて解説してきました。
それでは、どのようにデータセンターサービスを選定すればよいのでしょうか?ここではデータセンターの選び方のポイントについて解説していきます。
災害対策
1つ目の選び方のポイントは災害対策(BCP)が十分に施されているかという点です。
データセンターは、天災からサーバーを守り、災害発生時においても継続的に業務が続けられることがポイントです。
そもそも震災の起こりにくい場所に設置されており、建物は耐震構造かなど災害対策がしっかりしているか確認しましょう。
とくに設置場所については、国や地方自治体が作成しているハザードマップなどを参考に、問題ないか確認するとよいでしょう。
また、安全面だけではなく、利便性も忘れてはいけません。
例えばサーバー障害時などは現地に赴き再起動や交換作業などが必要となりますが、あまりに遠隔地やアクセスしにくい山奥などになるとこの対応が困難になってしまいます。アクセスのしやすさなども考慮にいれるようにしましょう。
機能面
2つ目の選び方のポイントは機能面です。
データセンターには自社の重要サーバーを設置することから主にインフラ面がいかに安定稼働しているか?という点が重要になってきます。
電源・空調などの稼働率やバックアップ対策などを事前に確認する必要があるでしょう。
また、データ量増加に伴い、ネットワークにかかる負荷も増大しているため、このパフォーマンスについてもしっかり確認する必要があるでしょう。
大容量データ通信に耐えられるか、負荷分散などはしっかり行われているかなども確認ポイントです。
運用サポート
3つ目の選び方のポイントは運用サポート面です。
先にも記載しましたが、IT環境は24時間365日稼働が当たり前となってきており、これに耐えうる運用体制が必要不可欠となっています。
データセンターも同様であるため、個のサポート時間や体制、スキルなどをしっかりと確認するようにしましょう。
また最近では追加サービスとして、自社持ち込みのサーバーのハードウェア運用や定期メンテナンスを代行してくれるデータセンターも増えています。
これらのオプション運用サービスメニューなども確認しておくとよいでしょう。
料金体系
最後は料金体系です。
料金体系は、なにより安価に利用できることが1番ですが、とくに重要な点であるメニューのバリエーションや単位についても確認すべきでしょう。
例えば、ラックについても1本単位でしか貸出していないケースもあれば、ハーフラック単位で貸出するケースもあります。
また、ラックに電源・ネットワークが含まれるケースもあれば別料金となっているケースもあるため確認が必要です。
事前にメニュー体系を確認しておかないと、実際の費用は他のデータセンターより高かったということになりかねません。
まとめ
今回は、データセンターの選び方のポイントや使用する理由を解説してきました。
サーバーを設置するデータセンターを選択する際には、セキュリティ、電源、空調、ネットワーク回線などのさまざまな要素と、災害への備えレベルの考慮が必要です。
また、これらを含めた運用レベルやサービス内容も事前に確認すべきでしょう。
データセンターを検討しているという方は、解説した選び方を参考にしてみてください。
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