【Step1】IDCの基礎知識

データセンターの誘致?メリットとデメリットを紹介

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今、データセンターの誘致に注目が集まっています。あらゆる産業においてデジタル化が進み、ITインフラが必須になったこのご時世において、データセンターの設立や運営は成長傾向にあります。ただし、データセンターはどこにでも気軽に建設できるようなものではありません。本稿では、データセンターとは、そしてデータセンターを誘致することによるメリットやデメリットを紹介します。

1. データセンターとは?

IT技術の発達により、PCやスマートフォンを当たり前に利用する時代になりました。総務省が公表している統計情報によれば、モバイル端末の保有率は95%を超えており、少なくとも1人1台以上はIT端末を保持しているといえるでしょう。

SNSやメッセージングサービス、ゲーム、Webブラウジングなど日々利用しているほとんどのシステムはデータセンターで管理されています。PCやスマートフォンなどの端末から送信されるデータは、通信キャリアの網を経由してデータセンターにあるサーバに到達します。サーバでは必要な処理をして結果を端末に送り返します。

多くの通信やデータを処理する必要があるネットワーク機器やサーバが集まる施設がデータセンターです。建物全体をデータセンター用途に利用しているケースや、企業の社内システムの場合は社内のとある区画をサーバルームとして利用しているケースもあります。本稿では、前者のケースに着目して紹介します。

データセンターと呼ばれるからには、その特徴を象徴する設備があります。まずは立地。データセンターは災害に強い設備である必要があるため、強力な耐震構造になっている他、地盤が緩い場所に設立されることはありません。また、常に多くの電力を安定して供給できる設備も整っている必要があります。停電に備えて、蓄電装置も備え付けられており、規模にもよりますが、1日から1週間程度は完全に停電しても耐えられるようになっているのが一般的です。

設置されている機器が快適に動作するための環境もデータセンターには必須の設備です。サーバルーム内の気温は常に一定になるように管理されている必要があります。一般的には、機器から排出される暖かい空気と冷房から排出される冷たい空気をそれぞれ通路で分けて、効率よく換気ができるようになっています。

データセンターで働く人々にはいろいろな役割があり、受付やシステム監視では24時間365日体制で人員が配置されます。交代で休憩を取ったり仮眠をしたりと、深夜勤務の負荷を軽減するような配慮も必要です。

データセンター内に設置されている多くの機器では、機密情報や個人情報が多く扱われており、漏洩すると大きな事故になったり数億円規模の損害を受けたりする可能性があります。そのため、厳重なセキュリティ設備が完備されていることは非常に重要です。24時間常駐のセキュリティ人材をはじめ、入退館を管理したり、監視カメラで人の動きを監視したりと多岐にわたる対策が必要です。1種類の厳重な機能を利用するよりは、複数種類の機能を多層的に実装することでより強いセキュリティを実現することができます。

2. データセンター誘致の流行とデータセンターに適した条件

2. データセンター誘致の流行とデータセンターに適した条件

昨今では、IT技術の進歩と需要の増加に伴い、データセンタ需要がますます増加傾向にあります。2022年1月には、経済産業省がデータセンター設置に前向きな地方公共団体を募って意見交換会を実施し、6月には地方のデータセンター誘致を最大1000万円補助するなど、国をあげた取り組みが始まっています。

それでは、データセンターにはどのような気候や地形が適しているでしょうか?現代の技術を用いれば、極論をいえばどのような場所にもデータセンターを設立することはできるかもしれません。しかし、予め適切な地域や土地を選択することでその後のリスクやコストを抑えることができるので、どこにデータセンターを建設するのか選択することは重要なポイントといえます。

データセンターを設立するために適した条件の1つとして挙げられるのは、前述の通り地盤です。地震が頻繁に起こりやすい地域よりは、比較的被害が少ないことが予想される地域のほうが好ましいでしょう。また、水害を考慮して高いエリアであったり、安定した電力を供給しやすい地域であったりといった選択も有効です。データセンターは冷房設備を多く利用することから、比較的涼しい気候の地域に設置することでエネルギーを効率よく利用することができるといわれています。

日本の場合は国土自体があまり大きくないものの、南北に長いため気候が異なります。あまり比較されることは多くないかもしれませんが、例えば北海道の場合は沖縄に比べて比較的涼しい地域であり、冬は外気を冷房に利用することもできるので効率よくデータセンターを維持することが期待できます。

3. データセンターを誘致するメリットとデメリット

データセンターを設置できると、自治体にとってはどのようなメリットがあるのか考えてみましょう。まずは、経済的なメリットです。データセンターの運用は、機器を設置したい利用者に対して課金することが主な収入源になります。利用者に対して提供するインターネット回線や現地での機器修理サービスなど、付加価値を与えることで更に利益を伸ばすことができるでしょう。より多くのエリアを利用してもらうことにあわせて、発電や空調といったコストをできるだけ抑えることも重要です。サービスを提供する為には複数のインターネット回線業者から回線を引き込んでおく必要があるので、彼らと協業することでも経済的なメリットを享受できます。

もし現在空いている土地があるのであれば、データセンターの設立によって有効活用できることになりますし、データセンターそのものだけでなくとも、データセンター内で働く人やデータセンターに訪問する人もできるので、データセンターの運用自体以外の部分でも経済的な効果を期待できるでしょう。

また、昨今需要が増加しているデータセンターを設立することは、社会的なメリットももたらします。政府をあげて動いていることが裏付けている通り、データセンターの存在は社会の存続にもはや必須といっても過言ではありません。データセンターを運用することは、社会的にも大きな貢献になります。

加えて、技術的なメリットもあります。前述の通り、データセンターを構成するにはより多くの電力を効率よく作り出し、作り出した電力は効率よく利用しなければなりません。最新の様々な技術を利用することでそれらを実現し、より収益性の高いデータセンターを作り上げることもできますし、最新技術の利用は周りの注目を集める話題作りにもなります。

4. データセンターを利用する流れ

データセンターを利用する流れ

最後に、データセンターが設立されたあとにどのように利用されるのかを紹介します。サーバを設置したい業者は、必要な手続きを済ませた後に設置したい機器を搬入します。多くの場合は専門の搬入業者が作業を行います。機器は、あらかじめ割り当てられたデータラックにマウントされる形で設置され、このときに必要な配線もある程度敷設されます。インターネット回線や部屋越しなど、特に建屋全体に関わる配線は事前に敷設される場合が多いです。機器の物理的な設置や配線が完了したら、電源を入れてITエンジニアが必要な設定を行います。一般的には、インフラエンジニアが初期の設定やOS、ネットワーク周りの構築を担当し、その上でプログラマーやアプリケーションの担当者がサービスを起動させます。

サービスが稼働し始めると、運用フェーズに入ります。運用フェーズでは、パッチの適用やソフトウェアのアップデートなど定期的なメンテナンスに加えて、システムで障害が発生した際のトラブルシュート対応も含まれます。導入されているシステムの規模が大きければ大きいほど、障害の発生頻度も多くなり、メンテナンスエンジニアや代替パーツの運搬などで人の出入りが多くなる傾向にあります。

データセンター内には、責任境界線と呼ばれるパッチパネルが設置されており、パネルよりも回線側の設備で障害が発生した場合にはデータセンター側で修理対応をする必要があります。一般的には冗長構成になっており、単一の機器やネットワークケーブルで故障が発生してもシステム利用には影響が出ないように設計されていますが、できるだけ早急な復旧が必要です。

データセンターでは、24時間常に人の出入りが発生するため、受付要因や監視要因は常にシフト制で雇用する必要があります。人間は通常昼間行動して夜間は休養を取るようにできていますので、夜間の勤務はやむを得ないとはいえできるだけ負担を減らすような工夫をすることでより信頼の置けるデータセンター運用をすることができるでしょう。

5. まとめ

いかがでしたか?今回はデータセンターとその誘致について紹介しました。データセンターが必要なサービスの需要は私達の生活と切っても切り離せない存在であり、その必要数は今後もますます増加していくことが予想されます。データセンターを起点として、多くのサービスが売上を伸ばすことができるようになり、データセンターが潤い、そして地域も潤う、という理想的なビジネスモデルを形成することも可能でしょう。

データセンターの設立は、昨今ではクリーンエネルギーの利用や革新的な運用方法で注目を浴びてニュースになることも出てきています。自治体の皆様はこれを機に、ご自身が所属している地域にデータセンターが適しているかどうかリサーチしていただき、今後の誘致を是非検討してみてください。

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