デジタルトランスフォーメーション(DX) が進み、データ活用の機会が各社で急増する中、多くの企業から注目を集めているのがデータセンターです。自社サーバーよりもはるかに高いパフォーマンスを発揮するデータセンターの導入は、膨大なデータ資産を守り、フル活用する上で重要な役割を果たします。
今回はデータセンター導入にかかる費用に注目しながら、導入メリットや選び方について、ご紹介します。
データセンターの概要
データセンターは、データを管理するためのサーバーを設置している専用の施設です。サーバー管理に特化した設備と構造を備えているため、会社にサーバーを設置するよりもはるかに安全で、なおかつ大量のデータを取り扱える環境が充実しています。
データセンターは世界中に設置が進んでおり、日本国内も例外ではありません。大手企業は自社でデータセンターを保有するケースも見られますが、既存のデータセンターを間借りするような形式で利用できるサービスも増えています。
データセンターの設備
データセンターは、主に以下の設備が整備されているため、安心してサーバー運用をすぐに始められます。
ラック
ラックはサーバーを設置するための棚のことで、データセンターを契約する際にはラックの利用数で選ぶこととなります。サーバーの規模に応じて、より多くのラックが必要となります。
ネット回線
データセンターはクライアントとサーバーを繋ぐためのインターネット回線が整備されています。専用回線をデータセンターから用意してもらえるので、安心かつ高速な回線環境を実現できます。
空調
空調は、サーバーの温度を下げてパフォーマンスが低下しないよう維持するために不可欠の設備です。サーバー本体の電気代はもちろん、この空調代もサーバー利用の負担を圧迫する大きな要因です。
防災設備
防災設備は、データセンターの信頼性に直結する設備と言えます。地震や火事は日本ではポピュラーな災害ですが、これらのリスクからサーバーを最大限守り切るべく、高い防災性能を備えています。
セキュリティ対策
データセンターは企業のデータ資産が無数に保管されているため高度なセキュリティ対策が施されています。サーバー本体のセキュリティ対策はもちろん、施設へのアクセスにはID認証が求められるなど、物理的なセキュリティにも多くの設備投資が行われています。
データセンター導入にかかる主な費用項目
データセンター導入にあたって、最も肝心な情報となるのがその費用です。結論から言うと、データセンター導入にかかる具体的な費用は、運用規模やどのデータセンターを利用するかなどによって大きく異なるため、その額を紹介することは難しいものです。その代わり、ここではデータセンター導入にはどのようなお金がかかるのか、その費用項目について主なものをご紹介します。
初期費用
まず発生するのが初期費用です。データセンター利用に当たっての手続きなどにかかる費用で、施設によって数万円程度かかる場合があります。ただ、データセンターによっては初期費用がかからない施設も多いため、設備投資を抑えたい場合にはこういった施設を探すことも大切です。
ラック使用料金
データセンター利用における主なコストとなるのが、ラック使用料金です。ラックはサーバーを安全に運用するだけでなく、高いパフォーマンスを常に維持する必要があることから、必要最低限ではなく余裕を持って確保することが望ましいとされています。ラックの使用料金は従量課金制で、使用スペースが大きくなるほど金額は上昇します。
電気代
電気代は利用料金の中に含まれていることが一般的ですが、別途請求されるケースも存在します。データセンターは膨大な数のサーバーを動かし、それを維持管理するために多大な電力を消費するため、電気代も相応の額となります。
回線使用料金
データセンターでは常に安定した高速回線を維持するため、相応の回線料金がかかります。その代わり、膨大なアクセスにも耐えうる高品質な通信環境を実現できるだけでなく、耐障害性確保のための冗長化も行われているので、自社で回線を設置するよりも安心・安全の環境を確保できます。
データセンター導入のメリット
データセンターの導入には一定の費用がかかるものの、その導入メリットには多くの期待が寄せられます。ここでは、データセンター運用の利点をご紹介します。
専用回線で安定した高速通信が利用できる
まず、データセンターでは専用回線を使った高速通信を利用可能です。データセンターはクラウドサービスと比較されることも増えていますが、クラウド利用の場合、回線速度は周囲の利用状況に応じて変動するケースが多いという問題を抱えています。一方でデータセンターの場合、拠点との間に専用回線を設けているため、周囲の環境に左右されることなく常に安定した速度を実現できます。
オンプレミスよりもはるかに安心・安全のサーバー運用ができる
2つ目のメリットは、安心・安全のサーバー運用です。データセンターは防災性能やセキュリティに優れた施設でサーバーを管理しているので、自社でサーバールームを設置するよりもはるかに安全な運用ができます。回線の冗長化も行われているので、アクセス障害などが発生するリスクも小さくできます。
長期的には高いコストパフォーマンスを発揮できる
また、データセンターの運用は場合によっては長期的に見て高いコストパフォーマンスを発揮する可能性も備えています。大量のサーバーをまとめて保守管理してくれる施設であるため、自社でサーバーの維持管理に努めるよりも保守にかかるコストが安く済みます。
データセンターの利用方法
データセンターの利用方法は、大きく分けて2種類の方法が挙げられます。
ハウジング
1つ目の方法は、ハウジングです。ハウジングとは自社サーバーをデータセンターに設置するというもので、レンタルスペースのような感覚での運用が行えます。サーバーを新たに導入しないので初期費用を抑えられますが、維持管理を自社で行う必要があるため、保守費用の削減につながらない可能性があります。
ホスティング
ホスティングは、データセンターがあらかじめ設置しているサーバーや回線を新たに契約して利用する方法です。いわゆるレンタルサーバーの利用は、ホスティングに分類されます。最新のサーバー利用をすぐに始められ、維持管理コストも抑えられますが、サーバーのカスタマイズや設定についての自由度はハウジングに比べると低くなると言うデメリットがあります。
導入すべきデータセンターの選び方
データセンターは国内に多数存在し、それらを管理している事業者も様々です。自社にあったデータセンターの選び方について、最後にご紹介します。
物理的なセキュリティ対策に目を配る
1つ目のポイントは、物理的なセキュリティ対策への配慮です。データセンターは一箇所にまとめてデータ資産が集積管理されているので、ネットからの脅威だけでなく、物理的な脅威からも守り切らなければなりません。
入館の際のチェックの厳しさや監視カメラの有無など、実際にセンターを訪問して確認することをおすすめします。
耐災害性に注目する
日本は災害大国でもあるため、耐災害性は重視すべき項目の一つです。特に地震被害を回避するための免震構造や、「データセンターファシリティスタンダード」のレベルはわかりやすい判断基準となります。「データセンターファシリティスタンダード」は、日本が独自に発行しているデータセンターの安全性を指し示すもので、ティア1からティア4までのレベルに応じた安全性が確保されています。ティアランクが上昇するほど優れた防災設備を備えていると言えますが、その分利用料金も高額になるため、予算とリスクを天秤にかける必要があるでしょう。
ラックの電源容量を把握する
3つ目のポイントは、ラックの電源容量への注目です。ラックには電源容量が1基ごとに設定されており、電源容量が小さいと複数のラックと契約しなければなりません。ラックを選ぶ場合には電源容量の大きなものを選び、ラック数の節約を心がけましょう。
まとめ
データセンターはデータ管理に特化した施設であり、データ資産を有効活用する上では欠かせない存在です。その分それなりの導入費用はかかるものの、自社でサーバールームを管理するよりははるかに利便性と安全性に優れるため、導入価値は高いと言えます。必要なデータセンターの要件をまとめ、自社に最適なデータセンター活用を進めましょう。
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